第2章 Grace -第14話- Can You spare any Change?
真っ暗な丘。
人は手を組み、
空を仰いだ。
幾千万の星の海が見える。
人の唇が言葉を紡ぐ。
神様。
どうか貴方様の恩恵を私に下さい。
神様。
どうか貴方様の恩恵を私たちに下さい。
神様。
神様。
神様。
どうか私たちに……
Can You spare any Change?
人は言葉を紡ぎ終えると、
真っ暗な丘を下り始めた。
ふと、東に目を向けると、
明るくなってきていた。
丘のふもとには集落があり、集落の至る所から煙が上がっていた。
人が起きはじめたのだろう。
煙の塔が次々に明るくなってきた空に向かってそびえ立つ。
山々の間から明るい太陽の光が射す。
光は先程丘で言葉を紡いでいた人を照らす。
その人は少女だった。
つり目の大きな瞳が眩しそうに瞑る。
少女は太陽を背に一気に丘を駆け下りた。
さぁ、今日も暑い日の始まりだ。
Can You spare any Change?:どうかお恵みを
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