-第10話- fOrce fOr gUArD
クロネは闇の中に浮かんでいた。
(ここは――)
何処を見渡しても 闇 闇 闇 闇 闇……
(おかしくなってしまいそうだ)
――【ここはお前の心】――
闇に声が響く。
(誰、だ?)
――【…………】――
(お前、誰だよ。それに何で俺ここに…)
――【…………】――
(何とか言えよ!)
その時クロネは自分の足が闇の呑まれていっているのに気付いた。
(な、んで――)
――【お前が死に掛けているからだ】――
(俺が死ぬ―?)
記憶が蘇る。
動けない自分を庇っている天使――
その天使が老婆を庇ったあの子を重なって――
(お…れ、は…)
天使を咄嗟に庇った。
迫りくる槍。
腹部に突き刺さる感覚。
異物が進入してくる感覚。
生暖かいものが口の端から零れる。
泣きそうな顔をして駆け寄ってくるアルフ。
呆然としているマアヤ。
悲痛な顔をしている天使。
(うっ――)
腹部に鈍い痛みが走る。
(俺は、あいつに刺されて――!)
――【致命傷を負った。このまま身体が死に至る。そして、心は闇に呑み込まれる】――
(闇に…)
――【死した心は何処へ行くか、考えたことはないのか?】――
(神の下に行くんだろ?)
――【違う。死した心は闇に呑まれる。神の下へ行くだと?それは決して違う。神の下へ行けるのは神が選んだ者だけだ】――
腰の辺りまで呑まれる。
(俺は…消えるのか?)
――【このまま、ではな。だが、消えない方法がある】――
(消えない方法?)
――【力を求めよ】――
(力…?)
――【そう、力だ。死にたくなければ力を求めよ。生きたいならば力を受け入れよ。守りたいなら力を求めよ。救いたいなら力を受け入れよ】――
死ぬか 生きるか
守る 救う
――【我を求めよ!】――
クロネの目の前に光が現れる。
クロネはその光に手をかざした――
あの時、あの場所で
お前があいつに逢わなかったら
未来は違っていたかもしれない
目覚めることもなかった
苦しいこともなかった
悲しいこともなかった
やはりこれはお前の【宿命】なのだろうか
悲しみの螺旋から逃れられないのか
お前はこれから 【宿命】に磔にされる
その姿が見えるよ
でも決して負けないで
諦めないで
闇に囚われないで
どうか今度こそ、悲しみを断ち切って
どうか今度こそ、私たちを【宿命】から解放して――
さぁ
役者は揃った
再び始まる
【宿命】の旅――
Force for guard:護る為の力を――
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